家賃の値上げ通知が届いて困っていませんか?結論から言うと、家賃の値上げは拒否することが可能です。
ただし、値上げには法的な根拠が必要であり、貸主と借主の双方が合意して初めて成立します。
この記事では、値上げが認められる理由、認められないケース、交渉のコツや値上げを拒否する裁判手続きなどを解説します。

- 家賃が値上げされる理由は?
- 家賃が値上げされるタイミング
- 家賃の値上げが認められないケース
- 家賃の値上げ拒否や交渉は可能?
- 家賃の値上げを通知された場合の対処法
- 家賃の値上げを拒否した場合の裁判手続き
- 値上げ拒否の交渉に失敗した場合
- スムーズな物件探しならテクトピア
- よくある質問
- 家賃の値上げを拒否するときは冷静に対処しましょう
家賃が値上げされる理由は?
家賃が値上げされるのにはいくつかの理由があります。ここで解説する4つの理由は「借地借家法」という法律で定められており、いずれかの正当な理由が発生した場合、大家には家賃を値上げする権利が認められているのです。

大家が納める税金(固定資産税)が上がった
土地や建物を所有している大家は毎年、固定資産税や都市計画税を市町村に納付しています。固定資産税は原則として3年に1度のペースで評価替え(評価の見直し)が行われるため、評価替えによって大家が支払う税金が上がることもあるのです。納税負担が増した場合、負担分を家賃に反映させて値上げするケースがあります。これは借地借家法第32条で認められた正当な理由です。
★関連記事:家賃の値上げがされやすいタイミングとは? 理由と大家さんとの交渉方法を解説
物価の上昇など経済事情が変動した
近年の物価上昇は、建物の維持管理費用の増加につながっています。修繕費、管理委託費、共用部分の光熱費、清掃費などが値上がりしました。
このような経費の上昇により、現在の家賃では適正な管理が困難になることがあります。
長期間家賃を据え置いている場合は特に、物価上昇分を反映した値上げが必要です。経済事情の変動による家賃値上げは、法的にも認められた正当な理由となっています。
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土地や建物の価値が上がった・近隣の相場より安い
新駅の開業や商業施設の進出など、周辺環境の変化により物件価値が上昇することがあります。また、長年家賃が変わらず、周辺の類似物件と比較して著しく安い場合も、相場に合わせた値上げの根拠です。借地借家法第32条では、近傍同種の建物の賃料と比較して不相当な場合には、増額請求が認められています。
設備の導入などにより物件の付加価値が向上した
宅配ボックスやオートロック、防犯カメラ、無料インターネットの導入、共用部分のLED化など、物件の設備が新しく追加・アップグレードされた場合も値上げの理由となります。これらの設備投資によって物件の利便性や防犯性といった付加価値が向上し、周辺の相場よりも物件の価値が高くなったと見なされるためです。
家賃が値上げされるタイミング
家賃の値上げは主に契約更新時に行われます。多くの賃貸物件は2年契約のため、更新の1〜3か月前に値上げ通知が届くのが一般的です。ただし、値上げの時期は法律で決まっているわけではありません。契約更新時以外でも、正当な理由があれば値上げを通告されることがあります。いずれの場合も、借主の同意なしに値上げは実行できません。
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家賃の値上げが認められないケース
家賃値上げには正当な理由が必要であり、すべての値上げが認められるわけではありません。借地借家法第32条では、契約の条件にかかわらず双方の合意が必要とされているため、大家が一方的に値上げすることはできません。
■認められない値上げの例
- 契約書に「一定期間値上げしない」という特約がある場合(その期間中)
- 個人的感情による値上げ
- 差別的取り扱いによる値上げ
- 相場を大きく超える値上げ
- 高齢者や生活保護受給者への過度な値上げ
- 明確な根拠のない値上げ
- 報復的な値上げ
また、借主には値上げを拒否する権利があり、交渉次第で値上げを回避できることもあります。値上げを断っても、それを理由に追い出されることはありません。大家が借主を退去させるには、正当な理由と法的手続きが必要です。
家賃の値上げ拒否や交渉は可能?
家賃の値上げを拒否したり金額を交渉したりすることは可能です。家賃の値上げなど、契約内容の変更は大家と入居者のお互いの合意が必要だからです。値上げに納得しないうちは、値上げを了承する書類や契約書にサインや同意しないようにしてください。サインや同意をしてしまうと、家賃の値上げに合意したとみなされます。
しかし、家賃の値上げに納得いかないからといって拒否し続けるのはリスクが生じます。家賃の値上げに関して大家や管理会社との話し合いを拒否するほか、連絡を断つのもよくありません。話し合いを一方的に拒否することで、退去を求められる可能性があります。
大家の事情をきちんと確認して、家賃の値上げに関して話し合いをもつことが大切です。

管理会社に交渉するときのポイント
家賃の値上げに納得できない場合は、まず管理会社に相談してみましょう。交渉の仕方によっては、貸主側が条件を見直してくれる可能性があります。大家さんにとっても、値上げを理由に退去されて空室リスクを抱えるよりは、少し条件を譲ってでも長く住み続けてもらう方がメリットが大きいケースがあるからです。
交渉の際は、ただ「安くして」と伝えるのではなく、以下のような代替案を提案するのがポイントです。
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値上げ幅を小さくしてもらう
「5,000円アップは厳しいので、2,000円に抑えられないか」など、双方が納得できそうな現実的な金額を提示する -
値上げの時期を遅らせてもらう
「家賃アップには応じるが、適用を半年後やキリよく来年からにしてほしい」と猶予期間をもらう -
他の費用(更新料など)で調整してもらう
「毎月の家賃値上げは受け入れる代わりに、次回の契約更新料を減額(または免除)してほしい」と別の費用で相殺する
ただし、人気が高く入居希望者が多い物件では、値上げ交渉が難しい場合もあります。まずは電話やメールで管理会社に希望を伝え、冷静に話し合うことが大切です。
なお、値上げ額が相場とかけ離れていると感じる場合は、自治体の消費生活センターなどの相談窓口に問い合わせてみるのも一つの方法です
家賃の値上げを通知された場合の対処法
実際に家賃の値上げを通知された場合に、どのように行動したらいいのか気になる人が多いでしょう。ここでは、4つの対処法をご紹介します。
値上げの根拠がわかるデータや資料を確認する
まずは、値上げの根拠となるデータや資料を大家に提示してもらいましょう。家賃の値上げを実行する場合、借地借家法で定められているような理由が必要です。例えば、固定資産税の評価額の上昇が値上げの理由なら、数年分のデータや資料を確かめてください。数年分の固定資産税の評価額の推移から、値上げが妥当なのかが判断できます。
周辺の類似物件と相場を比較する
値上げが妥当かどうかを見極めるには、周辺の類似物件と相場を比較するのも有効です。今は不動産会社に行かなくても、インターネットで物件情報を簡単に調べられます。賃貸物件サイトを活用して、現在の住まいと近い条件の物件を探してみてください。
比較の際は、築年数・間取り・建物構造・駅からの距離などの条件をそろえることが大切です。近い条件で並べてみると、家賃が相場より高いか・安いかを判断しやすくなります。
■今借りている物件の空き部屋の状況もチェック
今お住まいの物件に空き部屋があるか確認しましょう。空き部屋が少なく人気の高い物件では、大家は強気で交渉に応じない可能性があります。一方、空き部屋が多い物件なら、値上げ交渉を有利に進められるかもしれません。
感情的にならずにやわらかい態度で話す
値上げ通知に不満を感じるのは当然ですが、喧嘩腰の対応は逆効果です。大家や管理会社も人間ですから、感情的な対応をされると態度が硬化してしまいます。
今の物件が気に入っているなら、その気持ちを素直に伝えましょう。「この物件に愛着があり、長く住み続けたい」という思いは、大家にとってもプラスの情報です。
具体的には「長期入居を約束するので、家賃は据え置きにしてほしい」といった提案をしてみるのも効果的です。冷静で丁寧な態度を保ちながら、お互いにメリットのある条件を探ることで、交渉が成功する可能性が高まります。
値上げ拒否・退去以外の方法を考える
値上げを一方的に拒否すると、大家との関係が悪化して住みづらくなる可能性があります。また、すぐに退去すると引っ越し費用や新居の初期費用で大きな出費が発生します。
そこで、お互いが歩み寄れる妥協点を探してみましょう。例えば、3,000円の値上げ要求に対して、1,500円や2,000円への減額交渉を試みる方法です。他にも、値上げの開始時期を数か月後にずらしてもらう、値上げの代わりに次回の更新料を免除してもらうなど、様々な交渉の余地があります。
大家にとっても空室リスクを避けられ、あなたも住み慣れた部屋に住み続けられるという、双方にメリットのある解決策を見つけることが大切です。
★関連記事:賃貸物件の引越しに掛かる初期費用はいくら?安く抑えるコツも解説
家賃の値上げを拒否した場合の裁判手続き
家賃を値上げする場合、まずは貸主と借主の話し合いによって決めるのが基本です。一般的には、貸主が借主に対して「家賃を値上げしたい」という内容の文書を送り、そこから協議が始まります。双方が合意すれば、新しい家賃を決めた書面を作成して手続きは完了です。
しかし、話し合いで合意できない場合は、裁判所の手続きを利用して解決を図ります。家賃の値上げについて争う場合は、いきなり裁判を起こすことはできず、まず「調停」を申し立てる必要があります。これを「調停前置主義」といいます。
調停とは、裁判所の調停委員が間に入り、貸主と借主の意見を聞きながら合意を目指す手続きです。非公開で行われ、双方が納得すれば、その内容に基づいて家賃が変更されます。もし調停でも合意に至らなかった場合は、調停は不成立となります。
その場合、貸主は裁判(訴訟)を起こし、家賃を値上げすべき理由を主張・立証します。借主はそれに対して反論を行い、裁判所が最終的な判断を下します。なお、裁判の途中で双方が合意すれば「和解」が成立し、その内容に基づいて家賃が変更され、裁判は終了します。
借賃増額請求が認められた場合の対応
貸主による借賃増額請求が認められると、合意または裁判所の判決によって決まった金額に家賃が変更されます。裁判(訴訟)の判決によって家賃の値上げが認められた場合、家賃の値上げは貸主が借賃増額請求をした時点にさかのぼって適用されます。そのため借主は、これまで支払っていた家賃と値上げ後の家賃との差額を支払う必要があります。また、この差額には年10%の利息が加算されます。
一方、貸主と借主の協議や裁判所の調停、訴訟中の和解によって家賃の値上げが決まった場合は、値上げの開始時期や金額は当事者の合意内容に従います。
値上げ拒否の交渉に失敗した場合
家賃の値上げを拒否し、交渉しても条件に折り合いがつかないこともあります。そのまま時間が流れ、契約更新の時期が過ぎてしまうことも多いです。さらに、大家から「値上げに応じないなら退去してください」といわれるケースもあります。
しかし、現在と同額(値上げ前)の家賃を支払い続ければ、強制的に退去させられることはないので安心しましょう。家賃の値上げは双方の合意があった後に行われるため、現在の契約期間が終了しても以前と同じ家賃の契約が継続します。そのため、家賃を滞納せずに支払い続けることが重要です。
家賃を一切支払わないという行為はNG
家賃の値上げに納得できない場合でも、支払いを止めるのは避けるべきです。値下げ交渉中であっても、従来の家賃は滞りなく支払いましょう。家賃を滞納すると、契約違反として退去を求められることもあります。
なお、借地借家法第32条第2項では「相当と認める額」の支払いが認められており、値上げ分について争いがある場合は、元の家賃を払い続けることで対応できます。ただし、最終的に裁判で値上げが妥当と判断された場合は、その差額に対して年10%の利息がかかる点には注意が必要です。
専門家に相談する
自分で交渉してもうまくいかない場合は、専門家に相談しましょう。各自治体の消費生活センターや無料相談窓口では、法的なアドバイスを受けることができます。
不動産に強い弁護士なら、値上げの妥当性を法的に判断し、交渉や調停の代理も可能です。司法書士は簡易裁判所での手続きをサポートしてくれます。
また、物件を紹介してくれた不動産会社が仲介に入っている場合は、間に立って調整してもらうのも効果的です。専門家の力を借りることで、より有利な条件で解決できる可能性が高まります。
引っ越すことを検討する
値上げ交渉が難航し、調停まで進むと時間も費用もかかります。その労力を考えれば、いっそ引っ越した方が合理的な場合もあるでしょう。
調停にかかる費用や精神的な負担を考慮すると、その分を引っ越し費用に充てて新しい物件で再スタートする方が建設的かもしれません。ただし、退去を決めても契約で定められた予告期間(通常1〜2か月)は必ず守りましょう。計画的に動けば、より良い条件の物件が見つかる可能性もあります。
スムーズな物件探しならテクトピア
家賃の値上げ交渉が難航した場合や、現在の家賃に納得できない場合は、引っ越しを検討するのも一つの方法です。新しい住まいを探す際は、賃貸物件サイト「テクトピア」を活用してみてください。
テクトピアは、賃貸マンション・アパートの建設を手がける株式会社クラストの不動産賃貸部門で、これまでに管理物件3万件以上の実績を持つ賃貸情報サービスです。東京・神奈川・千葉・埼玉・静岡・愛知・三重・大阪・兵庫エリアを中心に、多くの賃貸物件を取り扱っています。
掲載されている物件の多くは、クラストが手がけるRC(鉄筋コンクリート)造マンションで、耐震性や耐火性に優れているのが特徴。防音性能が高く、入居者が任意の暗証番号を設定できるデジタルロックなど、セキュリティやプライバシーにも配慮された設備が整っています。
間取りもワンルームから1LDK、2DK、2LDK、3DK、3LDKまで幅広く、一人暮らしからファミリーまでライフスタイルに合わせた物件を取り扱っています。家賃の値上げをきっかけに住み替えを検討している方は、ぜひテクトピアで自分に合った住まいを探してみてください。
よくある質問
家賃値上げを拒否したらどうなりますか?
家賃の値上げを拒否したからといって、すぐに強制退去させられるようなことはありません。ただし、値上げ前の従来の家賃を滞納せずに毎月しっかり支払い続けることが条件です。
お互いの話し合いが平行線をたどり、貸主側がどうしても値上げを通したいと考える場合は、最終的に簡易裁判所での調停や、地方裁判所での訴訟といった法的手続きに発展する可能性があります。
大家さんから家賃5000円の値上げ通知が来ました。拒否することはできますか?
拒否すること自体は可能です。家賃の変更は貸主と借主の双方の合意が必要なため、一方的な書面通知だけで値上げが成立することはありません。まずは値上げの根拠となる理由(固定資産税の増加や周辺相場との乖離など)を大家さんや管理会社に確認しましょう。納得できなければ同意書にはサインせず、家賃据え置きや減額の交渉を行うことが大切です。
ただし、値上げに同意しない場合でも、現在の契約で定められている家賃は滞りなく支払い続ける必要があります。支払いを止めてしまうと契約違反とみなされる可能性があるため注意してください。
家賃増額を拒否したら退去させられますか?
家賃の値上げを拒否したことだけを理由に退去させられることはありません。日本の法律(借地借家法)では、入居者の住む権利が強く守られています。大家さんが一方的に契約を解除して退去を求めるには、どうしても立ち退いてもらわなければならないほどの「正当な事由(理由)」が必要です。単に「値上げに同意してくれないから」という理由は、この正当な事由には当たりません。
ただし、値上げに納得がいかなくても従来の家賃の支払いをストップしてしまうと「家賃滞納」となり、契約解除の対象になってしまうため注意してください。
家賃値上げを断ったら更新されますか?
家賃の値上げを断っても、基本的にはこれまで通りの条件で契約は更新されます(法定更新)。法定更新されると、以前の契約内容と全く同じ条件で、契約期間の定めのない契約として継続されます。ただし、契約が自動更新されたからといって「値上げの話が完全に無かったことになった」わけではないため、引き続き大家さんや管理会社との話し合い(協議)は誠実に続けていく姿勢が大切です。
家賃の値上げを拒否するときは冷静に対処しましょう
家賃の値上げは「借地借家法」で定められている理由がある場合、大家に認められている権利です。しかし、家賃の値上げは双方の合意が必要なので、入居者は値上げを拒否できます。
値上げを拒否するときは感情的な態度で対応するのはよくありません。まずは、値上げの根拠を確認してください。また、値上げ拒否や退去以外の方法も検討してみましょう。
※掲載の写真はすべてイメージです。

監修者名
テクトピア編集部
プロフィール
テクトピアは、賃貸マンション・アパート建設で地元から厚い信頼を得る株式会社クラストの不動産賃貸課です。RC造を主体とした堅牢で耐震・耐火性に優れた建物を提供し、デジタロックなどの先進設備で安心・快適な暮らしを実現。首都圏・東海・関西エリアに3万件超の管理物件と約20店舗を展開し、24時間体制で入居者をサポートしています。 有資格者が在籍するテクトピア編集部が、不動産実務で培った知見をもとに本コラムを監修しています。
資格一覧
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、
少額短期保険募集人、土地活用プランナー
























