高齢者が賃貸を借りにくい理由とは?家探しのコツと借りるためにできることを解説

高齢者が賃貸を借りにくい理由と対策を具体的に解説。収入・連絡体制・見守り・保証会社・物件選びまで、入居審査を有利に進めるコツや不動産会社選びについても紹介しています。

目次

借りにくいのはなぜ? 高齢者が賃貸契約を断られやすい理由とその対策

まず、なぜ高齢者は賃貸契約を断られやすいのか、その背景にある貸主側の懸念を理解することが大切です。理由が分かれば、適切な対策を立てられます。

高齢者の賃貸契約時に懸念される問題

貸主が不安に感じるのは、主に以下の4つのポイントです。

家賃滞納リスクや収入の不安定さ

まず前提として、これはあくまで貸主側から見た一般的なリスク認識のひとつです。ご本人に十分な支払い能力がある場合でも、貸主は「高齢者」という括りで下記のような懸念を抱く傾向があります。
多くの方は、高齢になると主な収入源が公的年金になります。年金は安定した収入ではあるものの、現役時代の給与収入に比べると金額が少なくなるのが一般的。そのため、貸主側は「この家賃を、今後何年にもわたって安定的に支払い続けていけるだろうか」という点を慎重に判断します。
さらに、収入面だけでなく支出面での変化も懸念材料です。年齢を重ねると予期せぬ病気による入院や治療・介護サービスの利用などで、突然まとまった出費が必要になる可能性が高まります。こうした突発的な支出のほか、物価の上昇もマイナス要素。家計が圧迫され「家賃の支払いが滞ってしまうのではないか」という不安が拭えません。
貸主にとって家賃は大切な収入源であり事業の根幹です。そのため、入居希望者の支払い能力については、どうしても慎重にならざるを得ないという背景があります。

孤独死や健康リスクに対する懸念

単身の高齢者が増える中で、貸主が最も懸念することのひとつが「孤独死」です。室内で万が一のことがあった場合、発見が遅れると建物の価値が大きく下がる(いわゆる事故物件となる)リスクがあります。また、急な体調不良や転倒事故など、緊急時の対応についても不安視されがちです。

保証人や緊急連絡先の確保が難しい

賃貸契約の際には、家賃の支払いが滞った場合に備えて「連帯保証人」を立てるのが一般的です。貸主が連帯保証人に求める条件は、主に以下のようなものが挙げられます。

・安定した収入があること(現役世代である)
・年齢が一定の基準(例:50歳未満など)を満たしていること
・原則として二親等以内の親族であること

しかし、高齢になるとこれらの条件を満たす保証人を見つけるのが難しくなります。例えばご兄弟に頼もうとしても、同じように年金生活者であったりすでに退職していて安定収入がなかったりするため、保証人として認められないケースがほとんどです。お子さんがいる場合でも「住宅ローンや教育費で経済的な余裕がないかもしれない」「遠方に住んでいて迷惑をかけたくない」といった理由から、依頼すること自体をためらってしまう方も少なくありません。
また、万が一の際に駆けつけてもらうための「緊急連絡先」についても、近隣に頼れる親族がいないという理由で確保が難しいケースがあります。
このように保証人や緊急連絡先の確保がしづらいことが、高齢者の住まい探しにおける大きなハードルとなっているのです。

将来的な介護や医療の問題

一般的な賃貸物件の多くは、介護が必要になることを想定して設計されていません。下記のような長期的な視点での懸念が、高齢者の入居に対して慎重な判断をさせる一因となっています。

・将来、車椅子での生活になった場合、廊下や出入口の幅は十分か
・浴室やトイレに手すりを設置する必要が出てきた時に、建物として対応できるか
・介護サービスのスタッフや医療関係者が頻繁に出入りすることになった場合、他の入居者との兼ね合いやセキュリティは問題ないか

これは単に管理上の問題だけでなく「もし身体状況が変化した場合、この物件では十分なサポートが受けられず、ご本人が不便な思いをするのではないか」という、入居者の将来を案じる視点も含まれています。

賃貸物件を「借りにくい」高齢者のための5つの対策

貸主側の懸念を理解した上で、その不安を解消するための具体的な対策を5つご紹介します。これらの準備を整えれば、交渉を有利に進められる可能性が高まるでしょう。

家族や親戚のサポート体制を明確にする

子どもや親戚が近くに住んでいる場合は、強力なアピールポイントになります。「定期的に様子を見に来てくれる」「緊急時にはすぐに駆けつけてくれる」といった具体的なサポート体制を明確に伝えましょう。申込書に家族構成を詳しく書いたり、契約時に子どもに同席してもらったりするのも有効です。
家族が連帯保証を担う場合は、収入証明や在職証明を添付して責任の範囲を明記しましょう。審査がスムーズに進み、生活の変化に合わせて定期的に見直す前提で合意しておくと運用の継続性を保てます。

費用面・体力面で問題ないことをアピールする

家賃滞納リスクを払拭するため、預貯金が十分にあると証明できる書類(残高証明書など)を提示したり年金受給額を伝えたりして支払い能力に問題がないことを示しましょう。また、健康状態に不安がない場合は、健康診断の結果を提示したり日頃から運動習慣があるといった情報を伝えたりするのも貸主の安心につながります。

家賃保証会社を利用する

連帯保証人が見つからない場合に有効なのが「家賃保証会社」。借主が家賃を滞納した場合に、立て替えて貸主に支払ってくれるサービスです。
保証料(初回に家賃の0.5〜1ヶ月分、以降は年間の更新料がかかるのが一般的)はかかりますが、貸主にとっては家賃滞納リスクがなくなるため、審査に通りやすくなる大きなメリットがあります。最近では保証会社の利用を必須とする物件も増えており、連帯保証人を探す必要は減る傾向にあるといえます。

見守りサービスへの加入を検討する

孤独死や健康リスクへの懸念に対しては、「見守りサービス」への加入が有効です。自治体や民間企業がセンサーや定期的な電話・スタッフの訪問などによって安否確認を行うサービスで、月額数千円程度から利用可能。こうしたサービスを利用する意思を伝えれば、貸主は「万が一の備えをしっかりしている人だ」と安心してくれるでしょう。
見守りサービスは緊急ボタンの設置だけでなく、人感センサー・ドアの開閉検知・電気やガスなどライフラインの異常検知といった観察タイプのほか、定期コールを入れる対人サービスもあります。通知先・応答までの時間・駆けつけ体制・情報共有の流れを事前に図にまとめ、家族と管理会社が確認できる連絡ログを用意するとさらに安心です。
導入後は定期点検で改善点を洗い出し、ライフスタイルに合うサービスを作り上げましょう。

高齢者向けの賃貸物件を選ぶ

最も確実な方法のひとつが、はじめから高齢者の入居を歓迎している物件を選ぶことです。後述する「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」や「シニア向け一般賃貸住宅」など、高齢者が安心して暮らせるように配慮された物件は年々増えています。これらの物件は入居審査の基準が一般の賃貸とは異なり、高齢者特有の事情を理解した上で受け入れてくれるのも特徴的です。

高齢者向け賃貸物件の種類

・サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
対象は60歳以上で自立から要介護の方まで入居可能で、バリアフリーが標準です。
安否確認と生活相談が義務付けられており、緊急対応の仕組みもあります。食事提供は任意で選べるため、暮らし方に合わせて調整できるのは魅力的です。
費用は家賃とサービス費の合計で、立地やサービス内容によって月10〜20万円程度が目安となります。外出や自炊について柔軟に対応する施設が多く、自由さと見守りの両立がしやすい設計です。

・住宅型有料老人ホーム
原則65歳以上で自立から要介護認定が入居の目安です。食事・入浴・排泄などの介護支援を受けられるほか24時間の見守りや医療連携を備える施設もあり、体調変化への即応性が高いと言えるでしょう。
費用は設備や介護度によって幅があり、入居時に数百万円から数千万円といった高額な一時金が必要な施設もあります。

・高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)
高齢者が安全に、そして安心して暮らせるように設計された民間の賃貸住宅のことです。
運営は民間事業者が担当していますが、建設費の一部を国や自治体が補助しており、さらに入居者の所得に応じて家賃の一部を補助してくれる制度があります。
原則として60歳以上で、自立して生活できる単身・夫婦・親族などが入居可能です。
※注意点:2011年の法改正により、この制度の新規登録は終了しています。現在は後継制度である「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」に一本化されており、これから新しく建設される「高優賃」はありません。
ただし、2011年以前に登録された既存の物件は現在も運営されており、空きがあれば入居は可能です。数は減少傾向にありますが、お住まいの自治体の窓口などで情報を得るとよいでしょう。

・シニア向け一般賃貸住宅
一般賃貸に高齢者向けの配慮を加えたタイプで、年齢要件は物件により異なります。家賃が一般賃貸と同程度の例が多く、自由度を保ちながら安全性を高めやすい点が特長。UR賃貸住宅の「高齢者向け優良賃貸住宅」などがこれにあたり、保証人不要・更新料不要といったメリットがあります。自立志向が強い方と相性が良い選択肢です。

・ケアハウス(軽費老人ホーム)
自炊が難しい・独居が不安といった高齢者に対応する施設で、生活支援と健康管理のサービスを受けられます。費用は所得に連動するため、経済的な負担を抑えやすい仕組みです。
入居条件や待機状況に地域差があるため、日常の支援が必要になった段階で早めに窓口へ相談するとよいでしょう。

・シェアハウス型高齢者住宅
リビングやキッチンなどを共有し、個室でプライベートを確保しながら他の入居者と共同生活を送る新しい形の住まいです。
一般的な賃貸より初期費用や月額費用を抑えやすいのはメリットですが、共同生活のルール・プライバシーの線引き・家事分担の合意形成が満足度を左右します。納得できる物件であれば、費用の最適化や交流機会を重視する際の候補として有力になるでしょう。

高齢者が安心して暮らせる賃貸物件の探し方

ただ「借りられる」だけでなく、将来にわたって「安心して暮らし続けられる」住まいを見つけるためには、どのような視点で物件を探せば良いのでしょうか。

介護や医療を見据えた長期的な視点で選ぶ

年齢を重ねると身体的な変化は誰にでも訪れます。今は元気でも10年後・20年後を見据えた住まい選びが重要です。

・周辺環境:病院、スーパー、公共交通機関へのアクセスは良いか
かかりつけにしたい病院やクリニックが近くにあるか、日常の買い物に便利なスーパーや商店街が徒歩圏内にあるかは、非常に重要なポイントです。車の運転が難しくなった場合を想定し、バス停や駅へのアクセスも確認しておきましょう。公共交通は本数や乗り換え・バリアフリーに加え、停留所の明るさやベンチの有無まで確認すると、安全性の判断がより確かになります。

・建物:バリアフリー設計か(手すり、エレベーター、段差の有無)
玄関の幅・上がり框の高さ・廊下の有効幅・扉の開閉方向は、実際の動線で確認しましょう。浴室とトイレは車椅子から移りやすいかどうか、出入り口の段差を重視するのがポイントです。
入居前のリフォームで床材が変わるケースがあるので、滑りやすさの確認は必須。手すりの有無や増設可否も確認しておくとよいでしょう。
2階以上の部屋を選ぶ場合は、エレベーターの停止階や停電時の稼働について管理会社へ確認しておくと安心です。

・コミュニティ:地域包括支援センターの場所や、近隣住民との交流のしやすさ
高齢者の暮らしに関する相談窓口である「地域包括支援センター」の場所を把握しておくと、いざという時に安心です。また、地域のイベントやサークル活動が盛んなエリアであれば、社会とのつながりを保ちやすく孤立予防にもつながります。

不動産会社選びで注目すべき点

希望の物件を見つけるためには、信頼できる不動産会社のサポートが不可欠です。特に高齢者の住まい探しにおいては、以下の点に注目してパートナーを選びましょう。

高齢者の仲介実績が豊富か

実際に高齢者の仲介を数多く手掛けてきた「実績」があるかどうかは、非常に重要なポイントです。
実績のある会社は日頃から大家さんとの関係を築いており、「高齢者の入居に理解がある、あるいは歓迎している大家さん」を把握しています。
高齢者の入居審査で大家さんが何を懸念するのかを熟知しており、収入面の不安を払拭するための書類の準備やご家族のサポート体制のアドバイス・家賃保証会社の提案など、審査を有利に進めるための具体的なノウハウが豊富です。

・地域の事情に詳しく、親身に相談に乗ってくれるか

間取り図や家賃といった情報だけでなく、「この物件はエントランスの段差が少ない」「近くのスーパーまでは平坦な道で行ける」など、実際に生活する上での利便性や安全性を高齢者の視点で見極めて提案してくれます。
病院・介護資源・買い物・交通の実情を踏まえ、生活動線に沿った提案ができるかを確認。物件の弱点も率直に共有し、代替案や改善策を提示してくれます。

保証会社や高齢者向け物件の知識が豊富か

保証会社の審査基準・初回費用・更新条件・滞納時対応を比較し、事例に合う選択肢を提案できるかが鍵です。サ高住・高優賃・シニア賃貸の運用実務に通じ、管理会社との調整や書面化を先回りで支援できる会社は心強い存在です。
自治体によっては、高齢者の住み替えを支援するための助成金制度や利用可能な福祉サービスが用意されています。公的サポートにもノウハウをもつ不動産会社であれば、費用面の不安を軽減するための具体的なアドバイスも期待できるでしょう。

高齢者の住まい探しは時に難航するケースがありますが、頼れる不動産会社と二人三脚で進めれば不安は大きく軽減されるはずです。
当サイトを運営するテクトピアは、関東・中部・近畿地方を中心に地域に密着した店舗展開で豊富な物件情報を提供しています。各エリアの事情に精通したスタッフがお客様一人ひとりのご事情や将来のご希望を丁寧にお伺いし、最適な住まい探しを全力でサポート。高齢者の方向けの物件探しでご不安な点があれば、まずはお近くの店舗へお気軽にご相談ください。

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まとめ

高齢者が賃貸を借りにくい背景には、家賃滞納や孤独死といった貸主側の具体的な懸念が存在します。しかし、これらの不安は家族の協力体制をアピールしたり、家賃保証会社や見守りサービスを利用したりすることで解消することが可能です。
また、近年はサ高住やシニア向け賃貸住宅など、高齢者が安心して暮らせる住まいの選択肢も増えています。将来の介護や医療を見据えた長期的な視点を持ち、バリアフリー性能や周辺環境をしっかりチェックするといった対応が、満足のいく住まい選びにつながる第一歩です。
そして何より、高齢者の住まい探しに理解と実績のある「信頼できる不動産会社」をパートナーに選ぶことが成功への近道。この記事で得た知識を活用し、ご自分にぴったりのすてきな住まいを見つけてください。

テックとピア

監修者名

テクトピア編集部

プロフィール

テクトピアは、賃貸マンション・アパート建設で地元から厚い信頼を得る株式会社クラストの不動産賃貸課です。RC造を主体とした堅牢で耐震・耐火性に優れた建物を提供し、デジタロックなどの先進設備で安心・快適な暮らしを実現。首都圏・東海・関西エリアに3万件超の管理物件と約20店舗を展開し、24時間体制で入居者をサポートしています。

有資格者が在籍するテクトピア編集部が、不動産実務で培った知見をもとに本コラムを監修しています。

資格一覧

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、
少額短期保険募集人、土地活用プランナー

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