
【政府の家計調査】から見る、一人暮らしに必要な生活費とは
一人暮らしは手取り16万円あれば生活できる
総務省が発表した2021年度の「家計調査報告 家計収支編」によると、単身者の月平均消費支出は155,046円でした。
| 消費支出の内訳(全国) | 金額 |
| 合計 | 155,046円 |
| 食料 | 41,731円 |
| 住居 | 22,118円 |
| 光熱・水道 | 11,383円 |
| 家具・家事用品 | 5,830円 |
| 被服及び履物 | 4,843円 |
| 保健医療 | 7,703円 |
| 交通・通信 | 18,916円 |
| 教育 | 8円 |
| 教養娯楽 | 17,654円 |
| その他の消費支出 | 24,860円 |
この統計から判断すると、給与の手取り額が16万円あれば一人暮らしが可能です。
ただし、この数字は全国平均値であり、若年層だけではなく高齢者層の一人暮らしも含まれています。実際には地域や年齢によって生活費の支出傾向が異なるので、この数字を参考に、具体的な生活スタイルや地域の特性に合わせた予算を組むとよいでしょう。
※参照元:総務省「家計調査報告家計収支編」
年齢別・性別に見た年収・月収の推移
国税庁の「令和4年分民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の1人あたりの平均年収は458万円(総支給額)でした。
年齢別に見ると、年齢と年収はほぼ比例しています。しかし、見女別に見ると男性は563万円ですが、女性は314万円に留まるという結果でした。
男女の収入格差の要因として、統計に非正規雇用社員も含まれていることが挙げられます。女性は子育てや家族の介護などにあたるケースがまだ多く、統計にパートタイマーやアルバイトなどの短時間労働に従事・収入を得た結果も含まれた結果、この格差に至ったと考えられます。
新卒・第二新卒にあたる22~23歳での年収は、男性が291万円、女性は253万円、男女平均の年収は273万円という調査結果になりました。
平均年収を月給に換算すると約23万円で、所得税や健康保険などを差し引いた手取りは月額18万円相当。手取り16万円を超えているため、就職したばかりの若い世代でも一人暮らしを始められる計算になります。
月収(総計)/年収(総計)
19歳以下:10.3万円/124万円
20~24歳:22.7万円/273万円
25~29歳:32.4万円/389万円
30~34歳:35.4万円/425万円
35~39歳:38.5万円/462万円
年収(男性)/年収(女性)
19歳以下:137万円/114万円
20~24歳:291万円/253万円
25~29歳:420万円/349万円
30~34歳:485万円/338万円
35~39歳:549万円/333万円
※参照元:国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」
都会と地方で変わる一人暮らしにかかる生活費
都会と地方では給与と家賃に大きな差がありますが、それ以外の生活費に大きな差はありません。以下で詳しく見ていきましょう。
給与の差
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、東京とその他の地方では月収換算で5〜10万円ほどの差があることがわかりました。
都道府県別賃金(男女計)
東 京:31.2万円(月収)/375.5万円(年収)
北海道:22.3万円(月収)/267.7万円(年収)
大 阪:27.5万円(月収)/330.9万円(年収)
福 岡:24.7万円(月収)/296.5万円(年収)
沖 縄:21.0万円(月収)/252.0万円(年収)
※月収は年収を12で割って計算
給与は物価が反映されているため都会の方が高くなるのは必然で、都会と地方の最低賃金額を見てもその差は明らかです。東京では最低時給が1,100円以上なのに対して、地方では900円に満たない地域もあります。
一方で、東京と地方では家賃以外の支出額に大きな差がありません。支出項目によっては地方の方が多いケースもあるため、地方に住めば必ず節約できるとは言えないでしょう。
※参照元:厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」
※参照元:厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧 令和5年度地域別最低賃金改定状況」
家賃・水道光熱費
家賃に関しては、地価の高い首都圏と地方で大きな差があります。
1ルームでの一人暮らしを例にすると、東京では最低でも7~8万円かかりますが、地方だと3~4万円ほど。地方から東京都内に引っ越す場合、家賃が約2倍になるイメージです。
一方で水道光熱費は運営会社によって異なり、地方の方が高いケースもあります。
毎月発生する固定費は少しでも安くしたいところ。住む自治体で契約できる運営会社を事前にリサーチしておきましょう。
交通費・車両費
交通の便が悪い地域では公共交通機関よりも自家用車の利用が多く、車両維持費がかかります。個人差がありますが、駐車場代・ガソリン代・税金などを含むと、月に2~3万円が固定費に上乗せされると考えた方がよいでしょう。
一方で、都会は交通網が発達しているため車両を所有する人が少なく、必要があればレンタカーやカーシェアリングを使って車両費を節約する傾向にあります。
そのほかに、実家のある都道府県以外に住むなら、帰省費用を貯蓄しておくのがおすすめです。長期休暇を取りやすい時期は交通費も高くなるので、当月の給与のみで賄うと予算オーバーになるリスクがあります。
食費
全国の農水産物が集まる卸売市場が数多く存在する首都圏は、流通する品数が多いだけでなく大量仕入れによる価格競争店も多数展開しているのが特徴的。大手スーパーや商店街など、目玉商品ごとに店を選べばお得に購入できます。
地方の場合、卸売市場から店舗までの運搬費が上乗せされるケースと産地からの直送運搬費が割高なケースがあり、食品によっては購入費用が高い傾向にあります。しかし、地元の新鮮な食材が安く手に入るメリットもあり、こちらも工夫次第で安く抑えられるでしょう。
その他
交際費・娯楽費が高い都会エリアに住む場合は、収入を意識した支出管理が必要です。支払いを計画せずにカード払いやキャッシングを頻繁に利用すると、すぐに家計が圧迫されます。一方で、収入の少ない地方であっても交際費・娯楽費が安いとは限りませんので、どこに住むとしても節約スキルの向上が望まれます。冠婚葬祭等の出費も想定し、余裕を持った預貯金も残しておきたいところです。
家賃・水道光熱費・車両費などの固定費以外でどれだけ節約できるかが、一人暮らしでの生活を考えるうえで重要な要素となります。
いくらあれば理想的な一人暮らしができるか
支出項目(食費・水道光熱費など)ごとの理想の費用割
34歳以下の単身男性世帯を例にした理想の費用割合は下記の通りです。
・家賃:手取り額の25~30%以内
・食費:手取り額の20〜25%
・水道光熱費:手取り額の6%
・医療費:手取り額の4%
・交通・通信費:手取り額の10%
・娯楽費:手取り額の10%
・理美容・交際費:手取り額の20%
以下、項目ごとに紹介します。
一人暮らしの家賃
家賃は手取りの1/4~1/3以下に抑えるのが理想的です。その際に、管理費や共益費と言われる費用も「固定費」として家賃に含めて考えておきましょう。
この割合を超えるとほかの生活費に回す金額が減るので、余裕のある生活は難しくなります。
手取りから考える具体例としては、手取り15万円なら3.75~5万円、20万円なら6万円台、25万円なら8万円以内に抑えると、一人暮らしの部屋として十分な広さを確保しつつ経費を管理できるでしょう。
・初めての一人暮らし~物件選びのコツ~
家賃と初期費用を念頭において選ぶと、金額面で余裕のある一人暮らしを始められます。
敷金・礼金の相場はどちらも家賃の1~2ヶ月分なので、当月家賃と次月の前払い家賃を含めると、家賃6ヶ月分の初期費用が必要です。
部屋選びでどうしてもこだわりたい部分は、事前に不動産会社に伝えましょう。バストイレ別・オートロック・ロフト付きなどの条件が明確だと、部屋探しが容易になります。「物件選びを間違えた」からと再び引っ越すことになれば、経費はいくらあっても足りませんから、譲れない条件は最初に伝えておくことが大切です。
気に入る物件がすぐに見つからない場合は、マンスリー物件を利用しながら探すのもよいでしょう。また、仕事以外で友人・知人を増やしたいならシェアハウスもおすすめです。
4月の入学・就職シーズンを前に引っ越すためには、遅くても1月頃から希望エリアの不動産会社に連絡して物件情報を収集しておく必要があります。
初期費用を抑えたいなら、一定期間の家賃が無料になるフリーレント物件も検討してみましょう。
一人暮らしの食費
食費は手取り額の20〜25%に抑えましょう。
外食は便利ですが、食費への影響が大きいのがデメリット。対して自炊は食費を抑える有効な手段です。
自炊による1食の節約額は小さいものですが、積み重ねると大きな金額になります。具体的には、1日100円の節約で1ヶ月だと3千円、年間で3~4万円の節約が可能に。自炊を心がけて、賢く食費を管理していきましょう。
一人暮らしの水道光熱費
水道光熱費は節約術が生きる分野で、手取り額の6%に抑えたいところ。電気やガスは使用量を減らすだけで月に千円単位での節約が可能です。
具体的なアクションは、家電製品の電源をこまめに切る、給湯器のスイッチは使うときだけオンにするなど。日々の小さな節約が年単位での大きな節約につながります。
一人暮らしの医療費
医療費は手取り額の4%ほどを想定しましょう。病気や怪我の治療費として月に6千円前後を貯蓄しておくと、いざというときにほかの経費を圧迫せずに済みます。
万が一のことを考えて、生命保険に入るのもおすすめです。掛け捨て型なら少ない保険料で手術や入院費用をカバーできるので、節約したい一人暮らしの安心材料になります。
また、かかりつけ医を持つと病院が変わる度にかかる初期検査費用を節約できるほか、治療履歴から病気の早期発見につながりやすくなるため、メリットが大きいといえます。
当然ながら、日頃から健康でいることが一番の医療費節約につながります。バランスの取れた食事・定期的な運動・睡眠時間の確保など健康を維持する努力が節約にも繋がるため、一石二鳥といえるでしょう。
一人暮らしの交通・通信費
一定の支出割合を占める交通・通信費は、手取り額の10%に抑えましょう。
携帯電話の機種代は年々高額になる一方なので、安価な通信プランをうまく活用したいところ。また、大手キャリアから手ごろなSIMに変更するのもひとつの手段です。
交通費に関しては、勤務先からの定期や交通費補助があれば負担を軽減できますし、健康のために一駅前で降りて歩けばその分の交通費を節約できます。
プライベートの移動には、定期券を上手に利用するか、自転車を活用するのもよいでしょう。
どうしても自動車が必要な場合は、レンタカーをうまく活用しましょう。余裕を持って予約すればお得な条件で利用できます。
また、帰省費用は割高になるので注意が必要です。貯蓄に余裕を持つのはもちろん、早期予約を活用して節約につなげましょう。
一人暮らしの娯楽費
娯楽費は手取り額の10%ほどに抑えるのが理想的です。娯楽活動はアウトドアのアクティビティからインドアの趣味まで内容が幅広く、どのようなものでもお金がかかります。支出を抑えつつ充実した娯楽ライフを楽しむ方法を考えましょう。
たとえば、家庭用ゲーム機は遊び終わったものを売れば新たな娯楽費の元手にできます。また、欲しいものはオークションやイベント、中古ショップを利用すると安価で購入が可能に。賢く利用して、予算内で娯楽を楽しむ工夫をしましょう。
一人暮らしの理美容・交際費
美容・交際費は意外とかかる費用なので、手取り額の20%を想定しておくとよいでしょう。
特にイベントや飲み会などに参加する機会が多いなら、身なりを整えるために予想以上の出費になるケースも。支出を管理しながら楽しんでください。
また、体形変化が激しいと衣類を新調する必要が出てくるので、健康管理とあわせてスタイル維持も心がけたいところです。
流行に敏感なエリアや職種なら、ファッションや身だしなみの気遣いを疎かにすると、仕事や社交関係に影響が出る可能性も。必要な支出として計画的に取り入れましょう。

監修者名
テクトピア編集部
資格一覧
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、
少額短期保険募集人、土地活用プランナー



























