敷金・礼金なしの物件のデメリットは?やめたほうがいいって本当?メリットや注意点も解説

敷金・礼金なし物件のデメリットは、退去時に原状回復費用を実費で請求されやすいこと、そして希望条件に合う物件の選択肢が少ないことです。初期費用を抑えられる一方で「やめた方がいい」という声も聞かれ、不安に感じている方もいるでしょう。

そこで本記事では、敷金礼金なし物件の仕組みやリスクを解説。契約前に確認すべき注意点や、向いている人の特徴、他に初期費用を抑える方法まで説明します。

敷金・礼金なしの物件のデメリットは?やめたほうがいいって本当?メリットや注意点も解説
目次

敷金・礼金なし物件とは

敷金

敷金は、賃貸物件を借りるにあたって大家さんに預ける担保金のこと。物件の賃貸借契約において、金銭的なトラブルが発生する可能性に備えて大家さんに家賃の約1~3ヶ月分を預けておくというシステムです。

建物に損傷があったり家賃滞納があったりした場合、修繕費や補てん金として敷金が活用されます。入居期間中に特別そのようなトラブルがなければ、退去時に原状回復費用(ハウスクリーニング費用など)を差し引いた残金が借主に返金されます。

礼金

礼金は、大家さんへの謝礼金のこと。ですので、敷金と違って退去時に返金されることはありません。不動産の賃貸がまだ一般的ではなかった頃に、借り手から心付けとして大家さんにお礼を渡す慣習ができたのが、現在の礼金の起源。相場では、家賃の1~2ヶ月分とされています。

最近では礼金不要の物件も増えてきており、ある調査結果では礼金ありの物件は全体の54.5%という結果が。鹿児島や北海道など、地方によっては礼金が不要な物件が中心というエリアもあるようです。

なぜ敷金・礼金なしにするの?

物件の敷金・礼金をなしにすることで、入居希望者は初期費用(家具・家電の購入、引越し業者への依頼費用など)を浮かすことができます。引越しには多くのまとまったお金がかかるので、負担の少ない引越しが実現できる敷金・礼金なし物件はとても魅力的。一方、物件を貸し付けるオーナーにとっては、敷金・礼金なしにすることで費用を抑えて客付け(空き部屋へ入居者が入ってくれること)をスムーズにすることができ、多くの入居者に長く住んでもらえるというメリットがあります。客付けのために家賃を減らしてしまうと家賃収入は下がってしまいます。敷金・礼金はあくまでも初期費用であるため、例えゼロ円にしても入居期間が長ければ回収が可能。家賃を下げずに客付けをスムーズにするため、敷金・礼金ゼロにするオーナーも多いのです。

敷金・礼金なし物件のデメリット・メリットを比較

敷金・礼金なし物件には、初期費用を抑えられるというメリットがある一方、退去時の費用負担や物件選びのしにくさといったデメリットも存在します。両方を理解したうえで、自分の状況に合っているかどうかを判断しましょう。

敷金・礼金なし物件のデメリット

退去費用が高くなりやすい

入居時に敷金がゼロだと、退去時に原状回復費用や保証料がかかってしまいます。敷金は退去時のクリーニング費用や家賃滞納時の補てんに充てられるため、敷金が掛からなかった物件の原状回復費用は退去時の請求となるのが現実。退去時の部屋の汚損・破損が大きいほど、請求金額は大きくなってしまいます。

理想に見合った物件が見つかりにくい

特に敷金・礼金が共にゼロという物件は、実際そこまで数は多くありません。その条件で探す物件を限定してしまうと、大手の物件情報サイトでも空室が全体の約10%前後に留まるともいわれています。

初期費用を抑えられるというメリットはありますが、敷金・礼金なし、かつ希望に合った物件を探すのは至難の業です。また、たとえ敷金・礼金ゼロ物件が見つかったとしても、家賃が相場より高かったり短期違約金が発生したりすることもあるので、そうしたデメリットを踏まえた上で入居を検討するようにしましょう。

敷金・礼金なし物件のメリット

初期費用が安くなる

一人暮らしで家賃8万円のアパート(敷金・礼金あり)に入居を希望する場合、初期費用の目安は合計約48~56万円といわれます。敷金・礼金は家賃1~2ヶ月分が相場なので、どちらも約8~16万円(合計すると約16~32万円)の計算となります。このように、敷金・礼金は初期費用の中で最も占める割合が高いのが特徴。特に学生や新社会人の引越しにおいては、この初期費用は大きな負担となってしまいます。

もしこのアパートの敷金・礼金がゼロであれば、約16~32万円を浮かすことができます。そうなれば、初期費用は高くても40万円前後に抑えることが可能。不動産会社に仲介手数料などの交渉をして、さらに初期費用を軽減できた事例もあります(物件によって初期費用に差が出る場合があります)。

敷金・礼金なしの物件を選ぶ際の注意点

敷金・礼金なし物件は魅力的に見える一方、契約内容をよく確認しないまま入居すると、思わぬ出費やトラブルにつながることもあります。ここでは、契約前後で押さえておきたい2つのポイントを紹介します。

①契約書および特約を必ず確認する

敷金・礼金なし物件では、その分の費用が別の名目で契約に組み込まれているケースが少なくありません。「退去時のクリーニング費用は借主負担」「更新料あり」「短期解約違約金」といった特約が設定されていないか、契約書を隅々まで確認しましょう。
疑問点があれば口頭説明だけで済ませず、契約書や重要事項説明書に文言として残してもらうと安心です。

②退去時費用の目安を把握しておく

敷金がない物件では、退去時のクリーニング費用や修繕費が実費でまとめて請求されます。事前にどの程度の費用がかかりそうか、あらかじめ目安を把握しておきましょう。不動産会社に「退去時にどのくらいの費用が発生するか」を契約前に確認しておけば、いざというときに慌てずに済みます。もちろん日頃から部屋を丁寧に使うことも、退去費用を抑えるポイントです。

敷金・礼金なし物件はこんな人におすすめ

敷金・礼金なし物件は、以下のような人に向いています。

短期で住む人

短期間(2~3ヶ月程度)で住む場合は、初期費用が抑えられる敷金・礼金ゼロ物件がおすすめです。敷金・礼金が無い分、家賃が多少高かったとしても、短期間なら負担は大きくありません。また、長期間住むとリスクは大きくなりますが、短期間なら部屋をきれいに使用していれば退去時に請求される原状回復費用は最小限で済みます。

ただし、契約内容によっては2年未満で退去する際には短期違約金を請求されるケースも。契約前に条件をしっかり確認するようにしましょう。

初期費用をなるべく抑えたい人

まとまった貯金がなく、できるだけ初期費用を抑えて新生活をスタートさせたい人にも、敷金・礼金なし物件は適しています。浮いた費用を家具・家電の購入や引越し費用に回せるのは大きなメリットです。

退去時の費用を想定できている人

退去時にどの程度の費用がかかるかをあらかじめ調べ、準備できる人にもおすすめです。敷金という「担保」がない分、退去時の費用は自己資金で用意しておく必要があるため、事前に心構えと資金準備ができる人ほど、このタイプの物件を賢く活用できます。

敷金・礼金なし物件以外で初期費用を抑えるには?

敷金・礼金なし物件以外にも、初期費用を抑える方法はいくつかあります。ここでは代表的な2つの方法を紹介するので、自分の状況に合わせて比較検討してみましょう。

フリーレント物件を探す

フリーレントとは、入居後の一定期間、家賃が無料になる物件のことです。敷金・礼金がかかる物件でも、フリーレントを併用すれば初期費用の負担を軽減できます。
ただし、無料期間内に解約すると違約金やフリーレント期間分の家賃を請求される契約になっていることが多いため、短期間での引っ越しを予定している場合は契約内容をよく確認しましょう。

入居時期や希望条件を再検討する

敷金・礼金なし物件は数が限られるため、時期や条件を見直すことで選択肢が広がります。引っ越し需要が落ち着く時期は、大家さんが空室対策として敷金・礼金をなしにする物件が増える傾向があります。
また、駅からの距離や築年数などこだわりの条件を少し緩めるだけでも、初期費用を抑えられる物件が見つかりやすくなります。

よくある質問

敷金礼金がないとどうなりますか?

敷金礼金がない分、入居時の初期費用は大幅に抑えられます。ただし、退去時にはクリーニング費用や原状回復費用を実費で請求されることが一般的です。
また、家賃相場より賃料が高めに設定されていたり、短期解約時に違約金が発生したりするケースもあります。契約前に、退去時の費用負担や特約の有無をしっかり確認しておきましょう。

敷金礼金なしの物件はやばい?やめたほうが良いって本当ですか?

「やめた方がいい」といわれる背景には、退去時費用の実費請求や、家賃が相場より高く設定されているケースがあることが挙げられます。ただし、これは物件そのものが危険というわけではなく、仕組みを理解しないまま契約すると後悔しやすい、という意味合いが強いです。
契約前に特約や退去時の費用を確認し、納得したうえで契約すれば、無理なく活用できる選択肢のひとつといえます。

敷金・礼金なしの物件は”ゼロゼロ物件”と同じですか?

基本的には同じ意味で使われています。「ゼロゼロ物件」は、敷金と礼金がどちらも0円の物件を指す呼び方で、「敷金・礼金なし物件」とほぼ同義です。
ただし、敷金だけ、礼金だけがなしになっている物件もあるため、実際の契約条件は物件ごとに確認が必要です。「ゼロゼロ」という言葉だけで判断せず、詳細な費用条件をチェックしましょう。

まとめ

一見すると、敷金も礼金もかからない物件は初期費用の削減につながり、入居者にとってはとても魅力的に見えます。ですが、一般的な家賃相場よりも賃料が高額だったり、退去時に原状回復費用が実費請求されたりするケースもあるため、慎重に検討する必要があります。

契約前には、特約の有無や退去時費用の目安を確認し、短期居住者や初期費用を抑えたい人など、自分の状況に合っているかどうかを見極めることが大切です。フリーレント物件を探す、条件を見直すといった別の選択肢もあわせて比較検討しましょう。

気に入った賃貸物件の敷金・礼金がゼロだった場合は、事前に不動産会社に相談・見学をしたり、契約の条件をよく確認してから入居を考えるようにしましょう。

※掲載の写真はすべてイメージです。

テックとピア

監修者名

テクトピア編集部

プロフィール

テクトピアは、賃貸マンション・アパート建設で地元から厚い信頼を得る株式会社クラストの不動産賃貸課です。RC造を主体とした堅牢で耐震・耐火性に優れた建物を提供し、デジタロックなどの先進設備で安心・快適な暮らしを実現。首都圏・東海・関西エリアに3万件超の管理物件と約20店舗を展開し、24時間体制で入居者をサポートしています。

有資格者が在籍するテクトピア編集部が、不動産実務で培った知見をもとに本コラムを監修しています。

資格一覧

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、
少額短期保険募集人、土地活用プランナー

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