
礼金に消費税はかかる?居住用・事業用の違いと判定基準
礼金に消費税がかかるかどうかは、国税庁が示す「住宅の貸付け」のルールで決まります。まずは基本となる考え方と、課税・非課税の分かれ目を確認していきましょう。
【結論】住まいとして借りる「居住用」なら礼金に消費税はかからない
住まいとして部屋を借りる場合、礼金に消費税はかかりません。これは、消費税法が「社会政策的な配慮から住宅の貸付けを非課税取引」と定めているためです。国税庁のタックスアンサー(No.6225)でも、「契約において住宅用であることが明らかにされている場合には、その住宅の貸付けは(中略)消費税が非課税となります」と説明されています。
非課税になるのは毎月の家賃だけではありません。礼金・更新料・共益費・管理費のように、住宅を借りるうえで支払うお金も原則として同様に扱われます。契約時に前払いする前家賃や、入居月の日割り家賃も非課税です。
ただし、住まいとして使う場合でも例外があります。貸付期間が1か月未満の場合や、ウィークリーマンション・リゾートマンション・民泊のように旅館業法上の旅館業に当たる施設の貸付けは、非課税ではなく課税の対象です。短期の住まいを探しているときは、この点を頭に入れておきましょう。
※参照元:国税庁「No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など」
店舗・事務所・倉庫など「事業用」で借りる場合は10%が課税される
一方、店舗・事務所・倉庫のように事業のために借りる物件は、非課税の対象に含まれません。住宅の貸付けを非課税とする仕組みは人々の住生活を守るための措置であり、利益を生み出す活動の場となる建物までは対象にしていないからです。
税率は10%で、軽減税率は適用されません。たとえば事務所の礼金が20万円なら、消費税2万円を加えた22万円を支払う計算になります。居住用の感覚のまま見積書を眺めると余計な請求に見えてしまいますが、事業用では正しい取り扱いです。
なお、法人や個人事業主が事業用に借りる場合、上乗せされた消費税はインボイス(適格請求書)を保存することで仕入税額控除の対象になります。また、20万円以上の礼金は支払った年度に一括で経費にできず、原則5年間に分けて計上する(償却)ルールがあるなど税務上の処理が異なるため、あわせて押さえておきましょう。
※参照元:国税庁「No.5460 建物を賃借するための権利金等」
課税・非課税を分けるのは物件の種類ではなく「契約書に書かれた用途」
課税と非課税を分けるのは、建物の見た目や種類ではなく「賃貸借契約書に記載された用途」です。分譲マンションの一室でも、契約上の用途が「事務所」であれば礼金は課税されます。
反対に、法人名義の契約や会社が借り上げる社宅であっても用途が「居住用」であれば非課税のままです。「法人契約だから消費税がかかる」と説明を受けたときは、まず契約書の用途欄を確かめてみてください。
2020年4月1日以後の貸付けについて
判定の方法が一部見直されました。契約書に用途の記載がない場合でも、貸付けの状況からみて人の居住用だと明らかであれば非課税として扱われます。
個人が借りて実際に住んでいる部屋であれば、用途の記載漏れだけを理由に課税されるわけではありません。
SOHOや住居兼事務所の場合
住まいと仕事場を兼ねる物件では、居住部分と事業部分を面積比などで合理的に区分します。このうち非課税になるのは居住部分だけで、1階が店舗で2階が住居という建物を一括で借りる場合も同じ考え方で按分します。
区分の根拠があいまいだと後から解釈が食い違いやすいため、契約書や覚書に按分の割合を残してもらうと安心でしょう。
入居後に用途を変える場合
貸主と借主が合意して用途を事業用に改める契約変更を行うと、変更した時点から後の貸付けは課税取引に切り替わります。
なお、貸主に無断で住宅を仕事に使うのは、使用目的を定めた契約に違反するおそれのある行為です。自宅での開業を考えているなら、必ず事前に貸主へ相談しましょう。
礼金以外の初期費用はどうなる?課税・非課税一覧と確認ポイント
見積書には礼金以外にもさまざまな費用が並びます。どの項目に税がかかるのかを知っておけば、提示された金額が妥当かどうかを自分で確かめられるでしょう。
【一覧表】賃貸契約にかかる初期費用の課税・非課税まとめ
居住用の賃貸借契約を前提に、初期費用の主な項目を整理しました。
| 費用項目 | 消費税(居住用の契約) | 理由・補足 |
|---|---|---|
| 前家賃(翌月分の家賃)・日割り家賃 | 非課税 | 住宅を借りるための支払いであり、住宅の貸付けは非課税とされているため |
| 共益費・管理費 | 非課税 | 家賃に準じるものとして扱われるため |
| 礼金 | 非課税 | 返還されないが家賃に準じるものであるため |
| 更新料 | 非課税 | 家賃に準じるものとして扱われるため |
| 敷金(返還される部分) | 対象外(不課税) | 預けるだけのお金で、そもそも消費税がかかる取引に当たらないため |
| 敷金の償却・敷引き | 非課税 | 返還されない部分は家賃と同じ扱いになるため |
| 火災保険料 | 非課税 | 保険料は非課税と定められているため |
| 家賃保証会社の保証料 | 非課税 | 信用の保証としての役務提供に当たるため |
| 仲介手数料・更新手数料 | 課税 | 不動産会社のサービスへの対価であるため |
| 鍵交換費用 | 課税 | 物品の販売や作業の対価であるため |
| 室内消毒・抗菌費用 | 課税 | 作業というサービスの対価であるため |
| 24時間サポート費用 | 課税 | サービスの対価であるため |
| 駐車場使用料(家賃と別に支払う場合) | 課税 | 施設の貸付けとして扱われるため |
※1.「対象外(不課税)」は、そもそも消費税の課税対象にならない取引です。「非課税」は、課税対象の取引のうち法律で消費税をかけないと定められたものを指します。どちらも消費税はかかりません。
※2.家賃保証会社に支払うお金のうち、保証料とは別に事務手数料として区分されている部分は課税対象です。
※3.駐車場は、1戸につき1台分以上のスペースが入居者に割り当てられ、家賃とは別の使用料がかからない場合は、住宅の貸付けに含まれて非課税となります。家賃と別に駐車場代を支払っているなら課税対象です。
表のとおり、住まいを借りること自体に関わる費用に消費税はかからず、不動産会社や業者が提供するサービスへの対価には消費税がかかります。判断に迷ったときは「部屋を借りるためのお金なのか、誰かに何かをしてもらう対価なのか」という線引きで考えてみてください。
事業用で借りる場合、敷金や仲介手数料の扱いはどう変わるか
事業用の契約になると居住用では非課税だった項目の多くが課税に変更となり、家賃・礼金・更新料・共益費はいずれも10%を上乗せした金額を支払います。
少し複雑なのが、敷金の扱いです。退去時に返ってくる部分は貸主が預かっているだけなので、居住用でも事業用でも消費税はかかりません。
契約で「返さない」と決められている部分は扱いが分かれます。契約書では「敷引き」(関西で多い表記)や「敷金の償却」と書かれ、どちらも預けた敷金の一部を退去時に返さない取り決めです。
返ってくる部分には消費税がかかりません。返ってこない部分は実質的に家賃と同じ扱いになり、居住用なら非課税、事業用なら課税です。用途によって扱いが変わるので、契約書で確認してください。
一方、仲介手数料は不動産会社の役務に対する対価であるため、居住用でも事業用でも変わらず課税されます。火災保険料や保証料も、用途にかかわらず非課税のままです。「事業用ならすべてに税がかかる」と決めつけず、項目ごとに性質を見ていきましょう。
損をしないために!見積書の記載確認と礼金ゼロ物件の活用
見積書を受け取ったら、まず確認したいのが契約上の用途です。居住用になっているかを確かめたうえで、家賃・礼金・更新料に10%が乗っていないかを1項目ずつ追っていきましょう。
合計欄の「税込」という表示だけでは、どの費用に税が含まれているのか読み取れません。内訳が分からない場合は、申込み前に担当者へ根拠を確認しましょう。計算に誤りがあれば訂正してもらえます。
初期費用そのものを軽くしたいなら、消費税の有無より礼金の金額に目を向けるほうが効果的です。居住用の契約で消費税がかかるのは、仲介手数料などサービスの対価に限られます。たとえば家賃8万円の物件で仲介手数料が家賃1か月分なら、その消費税は8千円です。一方、礼金が家賃1か月分ならそれだけで8万円かかります。礼金ゼロや仲介手数料ゼロの物件を候補に入れてみてください。
礼金・初期費用と建物構造の関係性~居心地のよい部屋を選ぶには~
初期費用の内訳を読み解けるようになったら、次はその部屋で快適に暮らせるかどうかにも目を向けてみましょう。費用と住み心地は、建物の構造を通じて結びついています。
初期費用・家賃の安さと建物の構造(木造・鉄骨造・RC造)の関係
賃貸物件の家賃や礼金の水準は、立地・築年数・広さによって大きく変わります。建物の構造による建築コストの違いもその要因の一つ。一般的には木造の建築費がもっとも安く、軽量鉄骨造・重量鉄骨造・鉄筋コンクリート造(RC造)の順に高くなり、その差は家賃にも反映されやすくなります。同じ広さ・同じ立地で比べると木造アパートのほうが初期費用を抑えやすく、礼金ゼロの募集も見つかりやすいでしょう。
とはいえ、費用が安く済むのには理由がある点も見逃せません。遮音性能は壁や床が重いほど高まるため、構造材が軽く壁の内部に空洞ができやすい木造や軽量鉄骨造ではどうしても音が伝わりやすくなります。隣室のテレビの音・上階の足音・深夜に響く洗濯機の振動といった生活音が、入居後のストレスや近隣トラブルの原因になることもあります。
防音性・安全性を最重視するなら「RC造(鉄筋コンクリート造)」がおすすめ
静かな住環境を優先するなら、RC造が有力。型枠にコンクリートを流し込んで壁や床をつくるため隙間が生じにくく、重量のある材料によって音を通しにくくなるからです。ただし、床の厚みは同じRC造でも物件により差があるため、上下階の生活音が気になる場合は内見のときに管理会社へ確認しておくと判断しやすくなります。
利点は防音性だけにとどまりません。鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造は耐火性に優れ、地震への備えとしても頼りになります。ただし、耐震性は1981年6月以降の新耐震基準で建てられているかどうかでも変わるため、築年数もあわせて確認しましょう。気密性も高いので、断熱仕様によっては冷暖房の効きが保たれやすく、光熱費の節約につながることもあるでしょう。
在宅ワークやSOHOのようにWeb会議や電話が多い働き方では、外の音が入りにくく自分の声も漏れにくい環境が仕事の質を左右します。長く住む前提なら、単身でもファミリーでもRC造の価値は大きいでしょう。
初期費用を抑えてRC造の賃貸を探すなら
「テクトピア」は、RC造の管理物件を主体に取り扱う賃貸情報サイトです。仲介手数料ゼロの物件や敷金・礼金ゼロの物件も扱っているので、初期費用を抑えながら防音性の高い住まいを探せるでしょう。
任意の暗証番号を設定できる「デジタロック」を備えた物件や、24時間サポートの対象物件も選べます。防犯面や入居後のトラブル対応に配慮した設備・サービスは、法人契約の社宅を探す企業にも女性の一人暮らしにも心強いポイントです。
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監修者名
テクトピア編集部
資格一覧
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、
少額短期保険募集人、土地活用プランナー























