
敷引きとは?退去時に返してこないと決められたお金のこと
まずは、賃貸借契約における敷引きの基本的な仕組みと敷金や礼金などほかの初期費用との違いを整理していきましょう。
敷引きの基本的な仕組みと使い道
敷引きとは、契約の時点で「退去時に差し引く(返還しない)」と定められたお金のことです。関西を中心とした西日本で多く見られる慣習で、東日本ではあまり使われません。契約書では「敷引き特約」として定められ、地域や不動産会社によっては「解約引き」「敷金償却(償却)」と呼ばれることもあります。
敷引きの使い道は、退去時の通常損耗(普通に暮らしていて生じる傷みや汚れ)の補修費用やハウスクリーニング費用などに充てられるのが一般的ですが、礼金のように貸主への謝礼の意味合いを含む場合もあります。
契約で定めた敷引きの額は、原則として退去時に返還を求めることはできません。そのため、募集情報に「保証金」とだけ書かれていても、実際には一部が敷引きとして戻らないケースもあります。見積書や重要事項説明書で、敷引きの有無と金額をあわせて確認しておくと安心です。
敷引きと敷金・礼金・保証金の違い
賃貸借契約で支払う初期費用にはさまざまな種類があり、それぞれ役割が異なります。主な費用の違いは以下のとおりです。
| 費用名 | 意味合い・使い道 | 退去時の返還 |
|---|---|---|
| 敷金 | 家賃の滞納や退去時の原状回復費用(借主負担の修繕費)に備えて貸主に預けるお金 | 原則あり(未払い分や修繕費を差し引いた残額) |
| 礼金 | 物件を貸してもらうことへの謝礼として貸主に支払うお金 | なし |
| 保証金 | 主に関西地方などで、契約上の担保として貸主に預けるお金(敷金とほぼ同じ役割) | 原則あり(敷引きなどの設定がなければ残額を返還) |
| 敷引き | 保証金や敷金の中から、退去時に差し引かれる(戻らない)ことがあらかじめ決まっているお金 | なし |
退去時に返ってくる金額の計算方法と相場
敷引きの金額は賃貸借契約書にあらかじめ記載されており、「家賃の○か月分」や「○万円」といった形で設定されます。一般的な相場は家賃の2~3か月分程度で、保証金は家賃の4~8か月分程度が目安です。
「保証金30万円・敷引き15万円」の物件を例に考えてみましょう。退去時には、預けていた保証金30万円から、まず敷引きの15万円が無条件で差し引かれます。残りの15万円から家賃の滞納分や借主負担の修繕費があればさらに差し引かれ、最終的な残額が返還される仕組みです。
敷引きが高く設定されているほど退去時に戻ってくる金額は少なくなりますので、契約前に必ず確認しておきましょう。
契約前に必ず確認したい敷引きのチェックポイント
「退去時に思ったより返ってこなかった」というトラブルや後悔を防ぐために、契約前に押さえておきたい注意点を紹介します。
契約書の敷引き特約の条項と金額を確認する
敷引きに関する取り決めは「敷引き特約」として契約書に定められます。
注意したいのは、金額が高額すぎる場合です。最高裁は平成23年3月24日の判決では、賃借人が消費者の場合、敷引金の額が高額に過ぎる敷引き特約は消費者契約法第10条により無効になり得ると判断されました。ただし、賃料が近隣の相場より大幅に低いなど特段の事情があればこの限りではありません。
なお、この事案では敷引金が月額賃料の約2倍弱~3.5倍強だったことなどから、特約は有効とされています。家賃に比べて敷引きが高すぎないか、契約書にサインする前に確認しておきましょう。
※参照元:裁判所「平成21(受)1679 敷金返還等請求事件 平成23年3月24日 最高裁判所第一小法廷判決」
e-GOV法令検索「消費者契約法第10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)」
敷引きとは別に原状回復費・クリーニング費を請求されないか確認する
通常損耗の補修費は、本来は貸主が負担するのが原則です(民法第621条)。敷引きが設定されている物件では、通常損耗の補修費やハウスクリーニング代を敷引きでまかなうケースが多く見られます。しかし、契約内容によっては敷引きとは別にクリーニング費などを請求されることもあるため、注意が必要です。二重に負担しないよう、敷引きの使い道と退去時の費用負担を契約書で確認しておきましょう。
※参照元:e-GOV法令検索「民法第621条(賃借人の原状回復義務)」
敷引きの有無だけでなく、家賃・更新料を含めた総額で比較する
物件を探す際は、敷引きや初期費用の安さだけで判断しないようにしましょう。初期費用が安く見えても、家賃が相場より高かったり更新のたびに更新料がかかったりする場合があるためです。反対に、初期費用がやや高めでも更新料がかからない物件もあります。
物件を比べるときは、住む予定の期間にかかる家賃の合計に、初期費用や更新料、退去時に戻らない敷引きの額を足して計算してみましょう。実際に負担する金額の差がわかりやすくなり、納得して物件を選べます。
費用と住み心地のバランス!後悔しない物件の選び方
最後に、初期費用だけでなく、長く住むための建物構造という視点も踏まえた物件の選び方を紹介します。
家賃・初期費用と建物の構造(木造・鉄骨造・RC造)の関係
賃貸物件の家賃や初期費用は、建物の構造によっても変わります。一般的に木造や鉄骨造の物件は建築コストを抑えやすく、家賃や初期費用も安めに設定されやすいのが特徴です。ただし、壁や床が軽く防音性が低くなりやすいため、隣室の生活音や上階の足音が響いて騒音トラブルにつながるおそれもあります。
防音性・快適性を最重視するなら「RC造」がおすすめ
静かで快適に暮らしたい方には、RC造(鉄筋コンクリート造)の物件がおすすめです。RC造は重量のあるコンクリートで壁や床をつくるため、木造や鉄骨造に比べて音が伝わりにくいという特徴があります。
ただし、同じRC造でも壁の厚さや間取りによって防音性は異なります。内見の際は、隣室との間に収納やクローゼットがあるか、窓のサッシがしっかりしているかなども確認してみましょう。少しの確認で、入居後の住み心地は大きく変わります。
家賃や初期費用はやや高くなる傾向があるものの、長く住む場合の住み心地や耐火性を考えると、RC造を選ぶメリットは大きいといえるでしょう。
初期費用を抑えてRC造の賃貸を探すなら
物件選びでは、初期費用の総額と建物構造のバランスを見極めることが大切です。初期費用を抑えながらRC造の快適な住まいを探している方は、当サイト・テクトピアで物件を探してみてください。
テクトピアが管理する物件は、耐火性に優れたRC造が主体です。仲介手数料ゼロや敷金・礼金ゼロの物件も取り扱っているため、初期費用を抑えやすくなります。任意の暗証番号を設定できる「デジタロック」や24時間体制のサポートがある物件を選べば、入居後の安心にもつながるでしょう。
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監修者名
テクトピア編集部
資格一覧
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、
少額短期保険募集人、土地活用プランナー























