賃貸物件のエアコンクリーニングにかかる費用について、借主・貸主どちらが負担するのか、また業者依頼時の注意点を解説します。

賃貸物件のエアコンクリーニング完全ガイド
エアコンクリーニングが必要な理由とは?
カビや雑菌による健康リスクとニオイ対策のため
健康被害や不快な臭いを防ぐには、エアコン内部の汚れを定期的にクリーニングするのが有効です。専門業者による洗浄ならフィルターやドレンホースなど目に見えにくい箇所までしっかり清掃でき、室内環境を清潔に保てます。
エアコン内部にカビやホコリがたまった状態で使用すると、冷気と一緒にカビ胞子やダニのフンなどのアレルゲンも放出することになり、喘息・アレルギー性鼻炎・皮膚トラブルなどの健康被害につながります。とくに乳幼児や高齢者・アレルギー体質の方がいる家庭では注意が必要です。
エアコンは構造上タバコや料理の油煙なども吸い込みやすく、内部にたまると運転時の不快な臭いの原因になります。さらに、エアコン内で湿気がこもると汚れと反応して「揮発性有機化合物(VOS)」と呼ばれる物質が発生し、頭痛やめまい・倦怠感などの症状を引き起こすケースもあります。
冷暖房効率を保ち電気代を抑えるため
エアコンの冷房効率を保ち電気代を抑えるためには、内部の定期的なクリーニングが欠かせません。
クリーニングを怠ると、エアコン内部に汚れがたまり風の通り道が狭くなります。空気の吸い込みや送風が弱くなり、冷房効率が低下。設定温度に達するまで時間を要し、余分な電力を消費する原因となります。
ホコリやカビを除去することで空気の流れが改善され、余計な電力を使わずに室温を調整しやすくなるでしょう。
エアコンの寿命を延ばすため
汚れを取り除くことで冷却効率が保たれるうえ、コンプレッサーやその他の部品への負担を軽減してエアコンの寿命を延ばすことが可能です。
内部に汚れがたまったまま使い続けると、冷却効率が低下して本体が必要以上に稼働するため、部品の摩耗や故障につながります。高温多湿の環境では結露が発生しやすく、内部の錆や腐食によって電気部品が損傷するおそれもあるので、こまめな清掃が大切です。
エアコンクリーニング費用は誰が負担するの?
国土交通省が作成した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をもとに、エアコンクリーニングの費用負担を事例ごとに見ていきましょう。
【借主負担】メンテナンスやケアを怠った
フィルター掃除や日常的な手入れを怠ったことによってエアコンが著しく汚れた場合は、借主側に費用負担の責任が生じる可能性があります。借主に課された「善管注意義務」に基づくためです。
借主が物件を借りている間は管理者として注意を払い、善良な管理者のように物件を大切に扱うよう民法で定められた義務のことで、国交省ガイドラインでも「善管注意義務」が優先されています。
日頃から以下のような適切なメンテナンスを行えば、不要な費用負担を防ぐことができるでしょう。
・2週間に1回を目安にフィルターを掃除する
・室外機まわりのほこりや落ち葉などを清掃する
・冷房使用後は内部クリーン機能を作動させる
・タバコの煙をエアコンが直接吸い込まないよう注意する
【借主負担】喫煙・ペット飼育など生活習慣が原因で汚れた
喫煙やペットの飼育といった生活習慣に起因してエアコンのクリーニングが必要になった場合、その費用は借主が負担することになります。通常の使用による自然損耗には該当せず、借主に求められる善良な管理者の注意義務(善管注意義務)を逸脱する行為と見なされるためです。
タバコのヤニがフィルターや熱交換器に付着する・ペットの毛がフィルターに詰まったなどが原因で故障や消費電力が増加したと判断された場合は、原状回復費用を請求される可能性があるため注意しましょう。
【借主負担】実費で購入・設置したエアコン
賃貸物件に設置されているものとは別に自分で購入・設置したエアコンは、借主が費用を負担するのが一般的です。しかし、途中で貸主の所有物とした(譲渡した)場合は対応が変わるケースもあります。地域の不動産慣習や特約(契約書の個別条項)によっては借主が負担しなくてよいケースもあるので、大家さんに相談してみましょう。
貸主の承諾を得ずにエアコンを設置すると、退去時に原状回復(撤去)が求められる可能性があるため注意が必要です。
【貸主負担】入居直後からエアコンに不具合が発生した
入居直後にエアコンの不具合があった場合は、貸主負担で修理を依頼できます。引き渡し前の管理不備や動作確認不足が原因とされるためです。
一般的に「入居直後」とは入居から半年以内を指し、この期間の設備不具合は初期トラブルとして扱われます。
エアコンを使用しない時期(春・秋)に入居した場合は臭いや異常音に気付きにくいので、早めに稼働させて異臭や動作不良がないか確認しておきましょう。
【貸主負担】通常使用による汚れをクリーニング
入居者が定期的にフィルター掃除などの基本的な手入れを行っていた場合、エアコン内部の汚れは「通常使用に伴う損耗」と見なされ、クリーニング費用は貸主が負担するのが一般的です。
国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』でも、通常の使用に伴って自然に発生する汚れや劣化については、借主に原状回復義務がないことが明記されています。
ただし、負担範囲を賃貸契約で定める契約もあるため、事前に賃貸借契約書や重要事項説明書を確認しておくことが重要です。「エアコン内部洗浄は貸主負担とする」と明記されている場合はもちろん、記載が曖昧な場合も管理会社に確認しておくとトラブルを防げます。
【貸主負担】自然な経年劣化での汚れ
喫煙やペットの飼育もなく定期的に清掃していた場合の汚れは、自然な経年劣化と見なされてクリーニング費用は貸主負担となるのが一般的です。
長年の使用により内部にほこりや黒ずみがたまるのは、特別な使用方法でなくとも避けられません。このような汚れは借主の責任とはされず、使用年数や設置年数が判断材料になります。清掃の有無だけで負担の有無が決まるわけではない、ということです。
汚れが古さに起因すると考えられる場合は、管理会社や貸主に早めに状況を伝え対応を相談しましょう。契約内容とあわせて製造年や清掃履歴を確認しておくと、スムーズに話が進みます。
参照:(pdf)国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
※参照元:e-GOV法令検索「民法第四百条(特定物の引渡しの場合の注意義務)」
賃貸物件のエアコンクリーニングはいつやるべき?頻度と料金相場をチェック
エアコンクリーニングの頻度
エアコンのクリーニングは、おおよそ1~2年に1回程度の頻度で行うのが適切とされています。以下のケースに該当する方は、年2回のクリーニング実施がおすすめです。
・ペットを飼っている場合:動物の毛やペット特有のニオイが機器内に蓄積するため
・エアコンがキッチンから近い:調理時の油煙が機器内に付着するため
・喫煙者がいる:タバコのヤニが機器内に付着するため
エアコンから異臭がしたり吹き出し口に黒いカビが見えたりする場合は、頻度に限らずクリーニングを実施してください。
賃貸のエアコンクリーニングの料金相場は?
一般的な家庭用エアコンクリーニングの料金相場は以下のとおりです。
| エアコンのタイプと台数 | 料金相場 |
|---|---|
| 壁掛けタイプ1台 | 8,000円〜10,000円 |
| 壁掛けタイプ2台 | 14,000円〜20,000円 |
| 壁掛けタイプ3台 | 21,000円〜29,000円 |
※参照元:くらしのマーケットマガジン「【2025年6月】エアコンクリーニングの料金相場|安く依頼するコツ・オプション料金も」
エアコンクリーニングを複数台まとめて依頼すると業者の移動や作業の効率が上がるため、一台あたりの費用が抑えられる傾向があります。
エアコンの機種や洗浄範囲・依頼時期・業者の料金体系によって費用が変動するため、相場はあくまで目安と考えておきましょう。
賃貸のエアコンクリーニングで後悔しない業者選びとは
信頼できる業者の見つけ方と事前準備のポイント
適切な業者選びがエアコンクリーニングの仕上がりやトラブル防止につながります。
資格・実績・口コミを確認して信頼性を見極めよう
「エアコンクリーニング業者の信頼性を確認するには、以下のポイントを参考にするとよいでしょう。
・資格:エアコンクリーニングに関する資格には「エアコンクリーニング士」「ハウスクリーニング士」があります。専門資格を有する業者なら、機器の構造に関する知識や確かな技術を備えているため安心です。
・実績:業者のホームページに掲載されている施工件数や施工写真から、信頼できる実績を確認できます。
・口コミ:インターネット上の口コミを参考にし、利用者の満足度を確認してみましょう。評価の高い業者を選ぶことで、トラブルのリスクを軽減できます。
相見積もりで料金と作業時期を比較しよう
エアコンクリーニングの料金は業者によってばらつきがあるため、3社以上から相見積もりを取って比較検討しましょう。
依頼する時期は、繁忙期を避けた4月~5月、9月~10月がおすすめです。エアコンの使用が増える夏や冬は依頼が集中するため、対応が遅れる可能性があります。
リピーター向け割引プランを設けている業者なら継続的に依頼すれば料金が安くなるので、ぜひ検討しましょう。
料金の内訳を確認し、追加費用の有無をチェックしよう
エアコンクリーニングの料金は、基本料金・オプション料金・追加料金の3つで構成されています。基本料金には標準的な内部洗浄・フィルター掃除が含まれ、消臭や防カビコート・室外機の洗浄などはオプション料金になるのが一般的です。
機器の分解作業や部品の交換が必要になった場合は別途追加料金が発生するケースもあるので、事前の見積もりと作業内容を確認し、不要な支払いが発生しないよう不明な点は質問しておきましょう。
準備事項を把握しておこう
円滑な作業進行のために、作業日前までにエアコン近辺の整理を済ませておきましょう。
また準備事項として、エアコンクリーニングを依頼する際には機器のメーカーや型番を業者に伝えておくことも大切です。機器によって構造が異なるため、機種を把握することで当日の作業がスムーズに進みます。
作業当日の流れ
作業当日の大まかな流れは以下のとおりです。
1.予約時間に業者が訪問
2.作業の説明や作業場所の確認
3.クリーニング作業開始
4.クリーニング完了を確認し、精算
作業前後の立ち会いは必要ですが、作業中は部屋を離れていても問題ありません。

監修者名
テクトピア編集部
資格一覧
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、賃貸住宅メンテナンス主任者、
少額短期保険募集人、土地活用プランナー
